「日置桜」燗酒に特化した鳥取県の鍛造にごり

今回は、鳥取県鳥取市青谷町で1887(明治20)年創業の山根酒造店です。90年代の初頭から契約農家による酒米の生産を開始し、現在は酒米を生産農家ごとにタンクを分けて仕込んでいるという徹底ぶりです。たしかにこの造り方を行えば、農家のみなさんのモチベーションに繋がりますね。

また特徴的なのが「完全発酵」という製法です。酵母がもろみにある糖分をすべて食べてしまうまで発酵させることだそうですが、糖分がなくなるので甘くないお酒ができることになります。その目的は、甘味があると酒だけで完結できてしまうので、酒と食との調和が当たり前というこだわりからだそうです。

そこでこの「日置桜 鍛造にごり 山田錦」です。契約農家のひとつ「内田百種圓」で作られた自然栽培の山田錦を100%使用で80%精米、協会7号酵母で醸しています。「鍛造」シリーズとは、内田百種圓の自然農法で栽培された米で醸された純米酒の商標だそうです。

にごり酒ということで、瓶の中で撹拌すると真っ白でどぶろくのようです。油断すると澱がすぐ底に溜まってしまいます。まず常温で呑んでみます。相当甘味があると思いきや、まったくありません。逆に、酸がまず口の中を襲い、酸っぱさの後に米の旨味がやってきて、最後にほんのわずかに甘味が感じられます。

ラベルによれば、この酒はお燗に特化するように製造設計しているということなので、熱燗にしてみます。

常温より酸、酸っぱい香りが増していますが、吞み口キレキレです。このキレが食事と合うのですね。ぬる燗のほうがやさしい感じで、一番呑みやすいですが、蔵元的には熱燗がオススメとなっています。

購入した酒店によれば、このH29BYで「鍛造にごり」は終売とのことだったので、あえてこの銘柄を購入してみたのですが、他の酒屋のHPにはH27BYで終売とあるので、また醸される可能性もありますね。

このようなこだわりの蔵が醸す酒ですから、生産量も取扱店も少なく、東京ではなかなか見ることがありませんが、当ブログではどんどん紹介していきたいと思います。次回は鳥取県の酒米「強力」を使った酒も試してみたいと思います。

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