「七田」ゲンジボタルが棲む名水で醸す銘酒

今回は佐賀県小城郡で1861(文久元)年創業の天山酒造が醸す「七田」です。蔵のそばを流れる祇園川を使って水車業を始めたのが発祥です。水車業とは自前の水車を使って、製粉、製麺業を行ったり、他者から持ち込まれた米を精米したりする商売ですが、その関係でしょうか、ある蔵元が廃業するに当たって買い取った結果、酒造業を始めることになったということです。

それが1875(明治8)年のこと。七田家は建築にも造詣が深く、天山酒造二代目蔵元が造った「明治蔵」「大正蔵」「昭和蔵」及び「竪型水車」とその水路は国の有形文化財に指定されていて、今でも現役で使用されています。

仕込み水は当然のごとく祇園川の伏流水です。ゲンジボタルの名所ということで、水のキレイさが想像されます。その仕込み水と佐賀の酒米で醸しているのは地元酒「天山」。新種鑑評会では「飛天山」という銘柄が金賞を取り続けていますね。

その天山酒造が全国に発信しているのが「七田」です。すべて純米酒で、写真は「七田 純米吟醸 無ろ過」「七田 純米吟醸生無ろ過」。両方とも岡山産雄町100%の50%精米です。

表ラベルは全く同じで裏ラベルが若干違います。

味わいは生のほうが雄町の甘さと力強さが感じられますが、どちらも美味しいです。私の好みでいうと一回火入れの落ち着いた感じがいいですね。呑んだ時期でいうと、生は5月、火入れは10月です。

七田は2017、2018年の「KURA MASTER」でプラチナ賞や金賞を連続で受賞しています。この「純米吟醸 雄町50%」も2年連続プラチナ賞を受賞しているほどの出来です。佐賀県の日本酒では「鍋島」だけでなく「七田」も忘れずに呑んでいきたいです。

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