「十九」凝ったラベルに負けない美味しさ

前回のラベルの話に続いて、かわいくて高価なラベルの日本酒「十九」です。長野県信州新町で1820年頃創業の尾澤酒造場が醸す日本酒です。地元酒は「美寿々錦」です。もともと生産量が少ないため、東京で見ることはありませんね。信州新町とは聞いたことがないかと思いますが、篠ノ井線の稲荷山駅から西に行ったところで、川中島カントリークラブというゴルフ場の方面です。といってもピンときませんね。

ということで「十九」です。生産石数60石と言いますから、一升瓶で6000本です。日本で最も小さな蔵のひとつですね。そんな蔵なのに、東京ではかなり有名です。人間だと、一人前といえば「二十歳」。日本酒造りで一人前にになるまでには、まだまだ一歩どころではなく、二歩も三歩も手前なのですが、、、という想いで「十九」と命名されました。もう十分一人前ですけどね(笑)

ユポという水に強い、お風呂絵本などにも使われている紙を型抜きでラベルとしています。これを5~6人でボトルに貼り付けているのですから大変です。下の写真でもわかりますが、♪やカモメなど、細かい部分の貼り付けは想像を絶します。

それぞれ出荷時期ごとにテーマがあるようで、現在発売されているかは別として、飲んだことのあるものを年初から並べてみます。

sneeuwpop(2月)。長野県産美山錦65%精米。

にごりの桜『Le cerisier rose m’ apporte』(3月)長野県産美山錦50%精米。開栓注意です。

幸運を運ぶはりねずみ『Riccio』(4月)。長野県産美山錦・ひとごこち65%精米。

梅雨時の『Le chat botté』(6月)、グリム童話の「長靴をはいた猫」。長野県産美山錦50%精米。

梅雨明けに出荷する『cumulonembo』(7月)、長野県産美山錦65%精米。

クジラのしっぽ『Fluke』富山県産五百万石45%精米。

『poco a poco』ゆっくりゆっくりの意(9月)、「ブレーメンの音楽隊」。長野県産ひとごこち等外米45%精米。いろんな危機を乗り越えた動物たちが協力して新たな道を歩き出すという話です。多くの蔵元がこんな感じですね。

『Sur Lie』(9月)、美山錦50%の発泡酒です。長野県産美山錦50%精米。ワインの製法にシュール・リーというのがありますが、それと同じ造り方です。

さらに和紙に本物のもみじを漉き込んだ『十九 紅葉』(10月)。兵庫県産山田錦65%精米。今年ももうすぐ発売されますかね。

『Diehard』今年の干支にちなんで、昨年11月に発売されました。長野県産美山錦45%精米。

雪の時期に出される新酒『Snowflake』(12月)。長野県産美山錦・ひとごこち65%精米。

けっこう飲んでいると思いましたが、酒屋さんのHP等をみていると、まだまだコンプリートはできていないようです。これからも頑張りたいと思います。

JAによる農産物検査上、30kgに満たない端米は検査を受けられずに未検査米扱いとなってしまい、その米がまざっていると特定名称酒を名乗れずに普通酒扱いとなってしまいます。そんな、農家にやさしいお酒が多いのも「十九」の特徴です。純米吟醸とか大吟醸とか関係なく、美味しいものは美味しいということで考えたいですね。

 

 

 

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