「東一」佐賀県で目指すのは世界一の酒

今回は佐賀県嬉野市五町田で1922(大正11)年創業の五町田酒造です。「東長」を醸す1789年創業の瀬頭酒造から分家して独立しました。現在の代表は同じ苗字の瀬頭一平氏で、主力銘柄は「東一」、「日本一」です。1988(昭和63)年から「吟醸蔵」を目標に掲げて山田錦の作付けを始め、平成2年には自家栽培の山田錦で醸した大吟醸が全国新酒鑑評会で金賞を受賞しています。

新酒は山田錦のうすにごり

今年の新酒も当然、自家栽培の「山田錦」を使用した純米酒のうすにごりです。64%精米と49%精米で、私は64%を購入しました。値段も安いですし、山田錦が多く残っているほうが米の味わいが愉しめると思ったからです。

軽くフルーティな香りで、口に含むとこれまた軽いガス感にメロンのような甘味、山田錦らしく後味はスッキリです。これはいつまでも呑んでいたいと思いましたが、本当は「正月酒」に買ってきたものなので2合呑んで、四合瓶2本に分けて冷蔵庫に保存しました。これは超オススメです。

「東一」と「勝沼醸造」のマリアージュ

前回、勝沼醸造の「アルガブランカ」をご紹介した際に、人気の日本酒と関係があるとお伝えしましたが、それがこの「東一」なのです。

ウイスキーのシングルモルトでは、フランスのワイン樽を使って貯蔵するのが当たり前で、オークカスクなど香りが高いものがあるのですが、日本酒を日本のワイン樽で貯蔵というのはあまりありません。「射美」で同じ甲州の「白百合醸造」の樽を使って貯蔵したものがあるくらいでしょうか。

五町田酒造は「勝沼醸造」のワイン樽に山田錦の純米吟醸酒を貯蔵した「Azumaichi Koshu」にチャレンジしています。

山田錦の純米吟醸が持つ香りと後口スッキリ感に加え、旨味にほんのりとワインの香りが乗って、日本酒の新しい世界が開けた感じがしました。このようなチャレンジは大歓迎です。

また、こちらは「山田錦」を49%まで削った純米吟醸で、アルコール度数を13%に抑えています。

山田錦の南国果実のような香りが口の中で膨らみ、まろやかな旨味とほどよい酸が感じられます。

東洋一をめざして「東一」と名付けたということですが、このようなチャレンジを続けていただいて、ぜひ「世界一」を目指していただきたいと思います。

 

 

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