もはや基本の酒米「雄町」の酒

日本酒といえば「山田錦」と思われる方が多いと思います。もちろん山田錦は日本酒米の横綱といえますが、現在では、新旧さまざまな酒米が使われており、蔵元の若社長、若杜氏はそれらに挑戦して、多品種少量生産を試みています。

今回は、その中でも特に注目されている酒造好適米「雄町」です。

もともと「雄町」という名前は現在の岡山県中区雄町で見つかったコメということからきていて、岡山県で9割が生産されています。岡山県は日本のなかでも日照時間が長く、自然災害が少ないことで知られており、背が高く、穂が大きい「雄町」を栽培するのにとても適した環境にあります。そんな折、先日の西日本豪雨での被害がどうだったか、気になるところではありますね。

結局、背が高く穂が大きいという特徴が他の地方で栽培しにくかったため、「山田錦」や「五百万石」に改良されていったわけですが、山田錦のあっさりした味わいに比べ、フルーティなのにコクがありながらすっきりした後味が人気となっており、とくに岡山県産の「赤磐雄町」「備前雄町」が貴重で高価となっています。

雄町サミット

「雄町」で醸した日本酒をこよなく愛する人々は「オマチスト」と呼ばれ、毎年、「雄町」のみを使用した日本酒が日本全国から集結する「雄町サミット」なる催しが開かれているほどです。今年は第10回をかぞえ、7月24日に千代田区のホテルグランドパレスで行われます。JA全農おかやまが主催ですから、被害も少なかったのかもしれません。昨年は全国126蔵から194点が集まったといいますから、相当な量を楽しめますね。一般の人は先着300名で前売り券、当日券はチケットぴあで発売されています。

昨年の「雄町サミット」で選ばれた優等賞受賞酒は吟醸酒の部で26点、純米酒の部で15点でした。http://home.oy.zennoh.or.jp/topics/2017/08/24/index.html

そのなかで私が飲んだことがあるのは、明治34年創業、愛媛県西条市の首藤酒造「寿㐂心 雄町 純米吟醸」。愛媛県にある百名山、石鎚山のふもとにあり、そこからの水で仕込んでいます。

さらに明治8年に酒造業を始めた佐賀県小城市の天山酒造「七田 純米吟醸 雄町50」。50%精米した雄町を蛍の飛び交う名水で仕込んでいます。こちらはフランスで開催されたSAKEMASTER2018でプラチナ賞を受賞しています。

雄町の酒はフルーティな甘さが特徴ですから、仕上がりに関しては、他の酒米より仕込み水の質が大きく影響してくる気がします。もちろん日本酒の味はどんなコメでも仕込み水で決まりますけどね。これからもさまざまな雄町を味わっていきたいと思います。

フォローお願いします。