「播州一献」2019年、完全復活を期する蔵
正月一発目は兵庫県宍粟市山崎町で1837(天保8)年創業の山陽盃酒造です。2018年11月8日に発生した火事で蔵の約半分に大量の日本酒とタンク2本、酒米が焼失してしまいました。しかし、従業員のみなさんが無事だったことと酒造用設備が残ったことで、すぐに酒造りを再開できたのは不幸中の幸いといえます。
その山陽盃酒造が醸すのは「播州一献」で、養父市にある明延鉱山坑道内の「明壽蔵」で貯蔵しています。石炭やら鉄鉱石やらを掘り出していた坑道は現在使われていないところが多く、一年を通じて温度の変化が少ないので酒やワインの貯蔵に利用されていて熟成に向いています。「明壽蔵」もそのひとつで、錫を産出していたようですが、飛鳥時代にはすでに閉山していたということですので、かなり歴史がありますね。
蔵の近くには揖保川が流れ、中国山脈からの伏流水を使用しています。また、特A山田錦を作っている西脇市、三木市、加西市、加東市に隣接していますが、写真は「晩秋一献 山廃純米 播州愛山」です。「愛山」ももちろん兵庫県の酒米ですが、昔から使っていたかはわかりません。
播州産愛山100%使用で65%精米、山廃純米ということでうっすらと黄色みがかっています。香りや甘味はあまりなく、酸を少し感じます。ある意味「愛山」っぽくないかもしれませんが、キレがいいので、呑み進んでしまいますね。
酒蔵として、まだまだ完全復活とはいえない山陽盃酒造ですが、2019年には完全復活できるように私たちも応援していきたいです。