「而今 特上雄町」雄町初の特上米で醸す酒
今回は、三重県名張市の木屋正酒造「而今」です。それも話題の「特上雄町」を使用した純米大吟醸です。雄町の酒米等級で特上は史上初。世界で28俵しかないそうです。酒米等級とは、色、粒の揃い具合、割れや発芽している米の割合などを総合して、特上、特等、1等、2等、3等に分けられます。
雄町は古い品種のため、栽培が難しく、1~2等がほとんどで、昭和26年に農産物検査法ができて以来、雄町の特上は出ていませんでした。それが平成30年秋、岡山県岡山市の時光農園で作られた28俵だけ記録上初の特上雄町が誕生しました。業界では、その雄町がどの酒蔵に行くのか注目されていましたが、ゲットしたのが「而今」の木屋正酒造だったということです。
なんといっても豪華な箱入り四合瓶で54000円(税込)ですので、特上雄町の価格がしのばれます。もちろん購入できませんので、店でちょっとだけいただきました。大西杜氏もプレッシャーを感じたのか、精米歩合は純米大吟醸の王道40%です。口に含むと、いつもの而今とは違ってパンチを感じます。キレイなんですけど荒々しい感じといえばいいでしょうか。而今おなじみの澄んだ甘味というよりは、あまり甘くありません。ちょっと苦みを感じるくらいだったのですが、店主は感じないと言っていたので、舌の調子が悪かったのかもしれませんね。いずれにしても、いつもの而今のスイスイ入っていく感じではなく、違う味わいとして美味しいものでした。それはほかのお客さんも言っていたそうですが、本来の雄町の味わいとはこういう力強さがあるものなのかもしれません。もちろん後口はスッキリです。
時光農園さんには、またご苦労いただいて特上雄町を収穫してほしいと願っています。この味をできるだけ多くの銘柄で味わえれば、夢のようですからね。