「神蔵」京都の中心にある歴史ある小さな酒蔵

今回は、1726(享保11)年創業、「神蔵 KAGURA」を醸す松井酒造です。他に「京千歳」「富士千歳」「金瓢」などを醸しています。酒蔵は京都御所と鴨川を挟んで反対側にあり、京阪出町柳駅と神宮丸太町駅の間という好立地です。このあたりにはなかなか酒蔵はないのですが、280年間この地で営業を続けています。なぜかというと、現在は酒蔵はマンションの1階にあるからです。

コンパクトなスペースで酒を醸すため、設備は最新のものがそろっており、一年を通じて酒造りができるようになっています。大量に造られるわけではないので、貴重な酒と言えますね。

私が飲んだのは、「神蔵七曜 純米大吟醸 無濾過生原酒 祝 磨き50」、京都で作られている酒造好適米の「祝」を使った酒です。

ふわっと香る吟醸香とスッキリ辛口な味わい。透明な瓶にレインボー箔の酒名ラベルが涼し気です。

「祝」は昭和8年京都府立農業試験場丹後分場で「野条穂」 の純系分離によって開発され、戦前はずいぶん作られていたのですが、戦後に収穫量が少ないために作られなくなりました。その後、昭和30年代に再び作られるようになりましたが、他の酒米同様、背が高く収穫量が少ないので昭和49年に再び作られなくなりました。そして昭和63年、伏見酒造組合が作付けを働きかけ、現在に至ります。

七転び八起ではありませんが、作っては止めを繰り返した酒米です。「山田錦」や「雄町」など有名な酒米のある灘に比べ、これといった酒米のない伏見がウリになる酒米を作りたかったのはわかります。

そんな伏見ですが、私が京都に行ったときに時間があると、京阪電車に乗って中書島駅で下車し、黄桜記念館にある食堂で昼食を摂ることにしています。酒蔵から湧き出る仕込み水(誰でも勝手に汲んで大丈夫だと思います。実際に汲んでいた人がいました(笑))で炊いたごはんが絶品で、ここでしか飲めない黄桜の新酒は、これが黄桜かと思わんばかりの美味しさです。左は飲み比べセットで、右は地ビールです。 やはり、造ったさきから飲んだり食べたりするのが美味しいんですね。

 

中書島から黄桜記念館に向かう途中には、月桂冠大倉記念館や、坂本龍馬が襲撃された寺田屋があります。酒や米を船で運んだ伏見十石舟などもありますので観光にもおすすめです。

ただ、月桂冠大倉記念館では試飲はできますが食事処は無いので、昼食は必然的に黄桜記念館になりますね。

「神蔵」の松井酒造も蔵見学を受け付けていますので、蔵見学三昧も楽しそうです。

 

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