「三井の寿」スラムダンクな酒

今回は地域を少し飛んで、福岡県三井郡で1922年創業の株式会社みいの寿(元は井上合名会社)が醸す「三井の寿」です。地域的には久留米や佐賀県の鳥栖に近いところにあります。四代目の井上宰継蔵元杜氏が「三井の寿」と「美田」の2種類を醸しています。以前は普通酒がほとんどでしたが、今では99%が純米酒という吟醸蔵です。三代目のお父さんがワイン醸造を学ぶためにフランスに行ったりと、新しい技術を取り入れ、いち早くワイン酵母で日本酒を醸したりしています。

その影響もあるのか、毎年のひやおろしは「In Autunno porcini」とイタリア語です。日本語にすると「秋のきのこ」でしょうか(笑)

「白岳仙」でも使われていた山田錦系列の酒米「吟のさと」を使った純米吟醸を冷温貯蔵して、満を持して秋に提供するものです。ポルチーニのように香り高い一本です。脇にいるミノムシが可愛いですね。

下の写真は、最新の技術だけでなく、昔ながらの木槽搾りで醸した純米吟醸「木槽しぼり 生原酒 三井の寿」です。新酒として提供されるこの一本はフレッシュな香りが立ち、少し酸も感じられる逸品です。ラベルが濡れているのは、飲んだ店が冷蔵庫ではなく、冷水で冷やしているためです。ちょうどいい冷たさになって、いつも飲みすぎてしまいます。

「三井の寿」で最も有名になっているのはこの一本でしょう。どっちが表だかわかりませんが、珍しい両面ラベル。純米吟醸「大辛口 三井の寿」です。蔵元が井上さんなのは必然ですが、「スラムダンク」の作者も「井上」雄彦さんです。その「スラムダンク」の14番、三井寿がまさに「三井の寿」から採られた名前なのは有名なところです。井上雄彦さんは鹿児島県出身で、「井上」は本名ではないようですが、三井寿のように「三井の寿」に惚れた結果、ペンネームにも使用したのかもしれませんね。

その「スラムダンク」とのコラボラベルがこちらです。14番ということで、日本酒度が+14という大辛口です。ただ山田錦で醸しているので、それほど辛いわけではありません。キレがよくほんのり甘いといった感じです。

それにしても、こういうコラボが行われることで日本酒の消費が増えてくれれば、それに越したことはありませんね。探してみれば、ほかにも日本酒の名前から名前を採った登場人物もいるかもしれません。「侍ジャイアンツ」の大砲万作が「まんさくの花」から採ったとは聞いたことがありませんが・・・・・・。

 

フォローお願いします。