「玉川」イギリス人杜氏が醸す日本の酒
今回は京都府京丹後市で1842(天保13)年創業の木下酒造「玉川」です。京丹後市というと京都の北端、天橋立や伊根の舟屋などで有名ですが、木下酒造はその西側、日本海にそそぐ久美浜湾のほとりにあります。
また、木下酒造といえば2007年から杜氏をされているイギリス人のフィリップ・ハーパー氏が有名ですね。ハーパー氏はオックスフォード大学を卒業後、日本に英語教師として派遣され、2年後に奈良県の梅乃宿酒造で修業して南部杜氏試験に合格、その後大阪の酒蔵などをへて木下酒造に入社しました。
夏の酒として必ずリストアップされる、クールミントガムのようなペンギンが涼し気な「Ice Breaker」はハーパー氏によるものです。ロックで呑む日本酒というコンセプトは外国の杜氏らしい考え方ですね。
こちらは「玉川 純米にごり」京都府、兵庫県産の五百万石に京都府産のコシヒカリを掛米に使用、それぞれ65%、68%精米です。それでいてガッツリにごりです。なじみの店で私が苦手だと思うものを出してくださいと頼んで出してもらったのですが、甘ったるいわけではなく、しっかりと旨味を感じられ、後口もしばらく余韻を感じられるので、まったく苦手ではありませんでした(笑)
2017BYからラベルの左上にBYが記されるようになりましたね。
ハーパー杜氏による日本酒ですから、日本人はもちろん外国人にとって美味しい酒造りができるわけで、玉川はけっこう輸出されています。「Ice Breaker」だけでなくデザートワインのような味わいの「Time Machine」、山田錦を使用した「大吟醸」、五百万石の「特別純米酒」など。
はせがわ酒店で取り扱いがありますので、比較的、手に入りやすいかと思います。「獺祭」だけではなく、外国人が好む強めの日本酒の味わいを知るにはいいかもしれません。