「東豊国 福島県知事賞 大吟醸原酒」杜氏念願の福島県一位となった酒
今回は福島県石川郡古殿町で1841年創業の豊国酒造「東豊国 福島県知事賞 大吟醸原酒」です。「一歩己」で有名な蔵ですが、美山錦を使用しているため、出品酒は「東豊国」にしているようです。
豊国酒造について
福島県には豊国酒造が2社あり、ひとつはこの「東豊国」「一歩己」、もうひとつは会津にあって「豊国」という銘柄を醸しています。福島県は浜通り、会津、中通りと奥羽山脈と阿武隈高地によって横に3分割されているので、以前は他の地域に酒を卸すことがなかったため、同じ社名となったそうで、二つの蔵には血縁もないそうです。国を豊かにということで「豊国」とつけるのも時代的に不思議ではありませんね。
福島県知事賞
春季と秋季の年2回行われる福島県の鑑評会の一等が県知事賞です。吟醸酒の部、純米酒の部、夢の香の部の3部門があり、豊国酒造の矢内賢征蔵元杜氏はずっとこの賞が欲しいと思っていたということで、初受賞になります。廣戸川、天明、会津中将など、現在、日本でも一、二を争う日本酒激戦県ですから、受賞された喜びは格別のようです。箱入りなのがそれを物語っていますね。
「東豊国 福島県知事賞 大吟醸原酒」
山田錦100%使用で40%精米、醸造アルコール添加です。平成3年吟醸酒の部で県知事賞となりました。アル添の影響からか、吟醸香が鼻に抜けてスッと入るスムースさで、黒糖のようなビターな甘みがあります。フルーティな「一歩己」とは全く違う味わいですが、こちらは独特な美味しさを感じます。
「一歩己」では美山錦だけを極め続けているので、山田錦は新鮮ですが、新鮮な上にビターな感じで、「一歩己」を発売当初から呑んでいる者としては矢内杜氏の腕が上がっているのだと感じ入りました。これからもどんどん腕を上げていってもらいたいですね。