「春霞」地元の酒米「美郷錦」で醸す酒

今回は、秋田県「NEXT5」のうち、ご紹介するのが4番目になる「春霞」です。

「春霞」を醸す栗林酒造店は明治7年(1874年)創業、100年以上の歴史を持つ酒蔵です。

栗林酒造店のある美郷町は秋田県の酒米「美郷錦」のふるさとです。「美郷錦」は「山田錦」と「美山錦」を掛け合わせてできた酒米で、蔵元はもちろんこの「美郷錦」を中心に「春霞」を醸しています。

酒造好適米のなかで最も有名な「山田錦」はほとんどが関西以西で造られていて、東北では栽培することが困難な銘柄です。そのため東北各県は独自の酒米を開発し続けていますが、秋田県で生まれたのが「あきた酒こまち」、「吟の精」やこの「美郷錦」というわけです。

さらに美郷町は湧水が多く、それも軟水なので、酒造りに適した土地でもあります。NEXT5では、新政の6号酵母を使うことが多いのですが、栗林酒造では9号酵母の原形である熊本酵母のほか、亀山酵母を使用しています。亀山酵母は「春霞」の仕込蔵から分離したオリジナル酵母で、前杜氏の亀山精司さんの名前を付けたものですから、栗林酒造の酵母と言えます。

地元の酒米「美郷錦」を使った「春霞」

そんな「春霞」は、いつもラベルがかわいい銘柄です。下の写真は「美郷錦」を使った「春霞 純米酒 限定瓶囲い 花ラベル」。春の時期だけのタンク一本醸造です。「美郷錦」を使った季節の酒には他に、今の時期の「田んぼ」や「湧き水」などがあります。

すっきりした甘味が私の心をくすぐります。

こちらは左が栗林酒造の地元・美郷町の酒米「美郷錦」で醸された純米酒のラベルでしたが、現在は色が反対になって、赤地に濃い赤文字になっているようです。通年商品として出されており、白地に黒文字が純米大吟醸、緑地に濃い緑文字が純米吟醸です。

こちらは季節限定品のなかでも「美郷錦」以外の酒米で醸された栗ラベルとよばれているものです。栗ラベルは純米酒となっていて、この緑ラベルは八反錦ですが、雄町は赤、山田錦は黄色となっています。

そして、代表社員で蔵元七代目の栗林直章さんは、美郷町のなかでも限られた農家で育てられた「美郷錦」を使って新ブランド「栗林」を立ち上げ、2種類の純米酒を醸しています。

生産量が少ないため、なかなか店で見ることができないのですが、地元の酒米を使用し、地元の振興に供するためにがんばっています。

日本酒は酒蔵のお国柄を愉しむものですので、これからも地元振興を頑張ってほしいと思います。私も微力ながら頑張って呑んでいきたいと思います。

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