「扶桑鶴」”日本”を名前に冠する日本酒

「扶桑」とは古代中国で「東方に巨木のある土地」という意味で、日本のことを扶桑国と呼んだことがありました。そのため、日本でも自国のことを「扶桑」と呼ぶことがあったわけです。なので、「扶桑鶴」とは「日本鶴」ということではないですけど、わかりやすく言うとそんな感じです。「まんさくの花」の日の丸醸造や、CMでもあった兵庫県の日本盛などわかりやすい日本はありますが、控えめな日本ですね。

その「扶桑鶴」ですが、島根県益田市で1903年創業の桑原酒場が醸しています。使用水は日本有数の清流「高津川」からの伏流水。高津川は毛利元就も食べたという鮎の名産地で、今でも鮎釣りが盛んだそうです。

島根県は奈良県同様、「日本酒発祥の地」を自認しています。その根拠も「古事記」にある有名なヤマタノオロチ神話で、スサノオ命が酒を飲ませて退治したという逸話があることによります。また、「出雲国風土記」にも酒造りの神「久斯之神(くすのかみ)」を祀る古社「佐香神社(松尾神社)」のことが書かれています。奈良県なのか、島根県なのか。それぞれ根拠があるので、なんとも言えませんね。

ということで、今回呑んだのは「扶桑鶴 純米酒 高津川」です。五百万石ときぬむすめ70%精米です。あまり削っていないこともあって、ふくよかな旨味があり、リーズナブルですし食中酒にいいのですが、なかなか巡り合うことがありません。

島根県は一度「サンライズ出雲」で出雲大社と石見銀山に行ったことがありますが、そのままバスで広島に下ってしまいました。広島では「寳剱」や「賀茂金秀」などがふつうにあるかと思ったら、意外とないものなんですね。島根も広島もなかなか行く機会がありませんので、ご当地日本酒を飲んで、想いを馳せるのもいいかもしれませんね。