「初亀」藤枝市で醸す今も昔も変わらない極上クオリティ
今回は、静岡県藤枝市で1636(寛永12)年創業の初亀醸造です。最初は静岡市だったそうですが、明治の初めに現在地に移転したとのこと。太平洋にそそぐ朝比奈川沿いにあり、仕込水は南アルプスの伏流水を使用しています。とは言っても、新東名高速道路に近いくらいの内陸にあります。
初亀を初めて呑んだのはもう20年くらい前でしょうか。会社の友人に誘われた「日本酒を飲む会」で、日の出桟橋から屋形船に乗り、さまざまな銘柄を愉しんだときに「初亀」があったのです。さすがに最後まで呑み切れない日本酒がほとんどだったので、残り具合に応じて欲しい人が買い取っていくことになったのですが、私が狙い撃ちで買ったのが「秘蔵大吟醸 亀」でした。ラベルが残っていたのでご紹介します。
兵庫県東条町産特A地区山田錦を35%精米とのことですが、当時はそこまで日本酒のことが詳しくなく、とにかく一番美味しかったものを狙った結果、この「亀」に至ったということでした。
それから年は経って日本酒好きになった今、たまたま行っている店で縁がなく、東京駅のはせがわ酒店に行ってみたところで久しぶりに「初亀」を選んでみたわけです。
「初亀 特別純米 かすみさけ」富山県南砺産の麹米・山田錦55%精米と掛米・雄山錦60%精米という組み合わせで、にごっています。ふわっと広がる香りが鼻腔をくすぐるとともに、口の中からもダブルで攻められます。ふくらみのある旨味とメロンのような甘味で呑みすぎ注意となります。初亀醸造は山田錦の特A地区東条町と酒蔵が連携した「フロンティア東条21」という活動にも参加していて、富山県南砺市とは以前から協力関係にあるそうです。もちろん地元農家の方々が造った雄山錦や誉富士を使用しています。
ロゴとラベルのデザインが変わったのかなと思いながら購入しましたが、味はさすがの「初亀」クオリティです。
「初亀」だけでなく「磯自慢」「英君」「正雪」「開運」などなど、静岡県の日本酒はかなりクオリティが高い蔵が集まっていて、個人的には秋田県、福島県にも負けない日本酒県と言えると思っています。