「長陽福娘」維新の志士が育った萩の酒

今回も山口県の日本酒「長陽福娘」です。20世紀の始まり、1901(明治34)年に萩市で創業した岩崎酒造が醸す日本酒です。近くには高杉晋作や木戸孝允など、明治維新の立役者の旧宅がある、まさに長州の中心と言えますね。ですが、阿武川と橋本川に挟まれた三角州にあります。阿武川ということだったので、前回ご紹介した「阿武の鶴酒造」も近くにあるのかと思ったら違いました。

「長陽福娘」は大津杜氏が醸しています。これも大津なので滋賀県かと思ったら山口県長門市の杜氏でした。名前で判断してはいけませんね。HPにみられる地元酒のラベルでは「福娘」が大きく「長陽」は小さい字になっています。「長陽福娘」という名前は、創業当時岩崎家に女子が続けて誕生したため、その娘たちが福々しい良い子に育つようにと願いを込めて付けられたそうです。「福娘」はそうだと思いますが、「長陽」は長州から採ったものだと思いますね。

ですが、ラベルの文字としては「長陽」も「福娘」も同じ大きさで醸している「長陽福娘」は、都会向けといいますか、大吟醸出品酒と変わらない『630キロ仕込』で醸したものだそうです。県外向けに醸されたものなのだと思います。HPにはこれらはまったく触れられていないので、どうしたものかと思いましたが、自分で呑んだのでご紹介します。

まずは「長陽福娘 辛口純米 山田錦 無濾過生原酒」。山口県産山田錦100%で60%精米。日本酒度が+10の超辛口なのに旨味がバツグンの逸品です。開栓したてはガス感もあります。

続いて「長陽福娘 限定直汲 山田錦 純米吟醸 山口9E 無濾過生原酒」。山口県産山田錦100%で50%精米。山口県鑑評会で「純米の部」過去5年間で3回、最優秀賞を受賞。「山口9E」とは山口県独自の酵母です。こちらもガス感があって、さわやかですばらしい香りと山田錦らしい軽やかな甘味がマッチして美味しいです。「長陽福娘」入門としてはこれがベストだと思います。

そして「長陽福娘 山田錦 純米大吟醸 斗瓶採り」。山口県産山田錦を35%精米。贅沢の極みのような一本です。穏やかな香りと爽やかな軽い辛口です。

意外と知られていないようですが、私の中では山口県のベスト3に入ります。ぜひお見知りおきをお願いいたします。