「白岳仙」妥協を許さず袋搾りにこだわる酒
前回の「瑞牆山」の流れで行くと山梨県の「七賢」がよかったのですが、いつもの矢島酒店に購入しに行ったところ売り切れており、代わりにと言ってはなんですが、1853年創業、福井県の安本酒造が醸す「白岳仙」を購入してきた次第です。「白岳仙」といえば、「純米大吟醸 限定商い」がJAL国内線のファーストクラスで提供されたこともある銘柄です。
安本酒造があるのは朝倉義景と織田信長が対決した「一乗谷の戦い」で有名な一乗谷に近い安原町にあります。蔵元には白山水系の伏流水(中硬水)があり、そちらで酒を醸しています。生産石数も少なく、全量をひとつひとつ酒袋にもろみを入れて搾る昔ながらの舟しぼりで醸している「一切の妥協を許さない酒造り」を行っています。地元酒は「国府司」ですが、残念ながら、こちらは見たことも飲んだこともありません。
本日購入したのは、もちろんひやおろしの季節ですので滋賀県産玉栄100%で仕込んだ「白岳仙 純米 ひやおろし」です。ひやおろしらしくまったりした甘さに少し苦みが残っていますが、食中酒を目指している蔵元だけに後味はすっきりです。
「白岳仙 吟生」奥越五百万石(福井県大野産)を55%精米した夏酒です。夏酒は飲み口をサッパリさせるために醸造アルコールを添加するパターンも多いのですが、こちらは純米吟醸でそのサッパリ感を出しています。日本酒度も+4ですから、それほど辛口でもないのにサッパリ旨口ですから、もう来年になりますが、この飲み口はぜひ一度試していただきたいです。
「白岳仙 純米吟醸 吟のさと 生」こちらは福井県の小嶋農園さんが手塩に掛けて育てた特別栽培米「吟のさと」を使用した純米吟醸です。『吟のさと』は、福井県の酒米開発のため、山田錦の系列品種「山田穂・山田錦・渡船」を交配して開発されました。山田錦よりも栽培しやすく、吟醸造りに最適の品種ということです。味わいとしては山田錦に似た感じで、白岳仙のスッキリ感がとても飲みやすいです。
そして最近、ワイン酵母で日本酒を醸した「白岳仙 純米吟醸 Wine Cell」が登場しましたが、こちらも残念ながら飲み忘れてしまいました。五百万石をワイン酵母で醸しているので、「鳳凰美田」の山田錦を使用したwine cell、若干甘口の白ワインのような味わいとは違うのではないかと思われますが、次回は試してみたいですね。