「酔仙」震災被災から復興した酒

今回は岩手県陸前高田市で1944(昭和19)年創業、酔仙酒造です。昭和19年で新しいと思われるかと思いますが、岩手県南部にあった8つの酒蔵が合併して「気仙酒造」となったのがその年というわけです。そのときに醸していたのが「気仙」という銘柄でしたが、地元出身の画家・佐藤華岳斎が「酔仙」とするよう勧め、その名に改めました。

それから、地元に愛される酒造りを続けてきましたが、2011年3月、東日本大震災で被災し、津波で酒蔵が破壊され、従業員の方々が亡くなりました。社長の金野氏は復興を宣言し、ライバル岩手銘醸のタンクを借りて酒造りを再開。翌年3月には大船渡市で新工場の建設を開始、8月に完成してすぐ新酒の仕込みを始めました。

大船渡の新工場設立にあたっては仕込み水が当然変わったわけですが、氷上山の伏流水との出合いがあり、新しい「酔仙」が誕生しました。被災以前はリキュールや低アルコール清酒なども造っていましたが、現在はスタンダードな日本酒だけを造っています。ちなみに新しい「酔仙」は平成29年に新酒鑑評会で金賞を受賞しています。

こちらは「酔仙 純米酒」魚ラベルと呼ばれる定番酒。岩手県産米使用で70%精米です。少しアルコール感が強めの辛口です。当日は魚ざんまいでしたので、魚の脂を流してくれるのにちょうどいい辛さですね。

赤武酒造や磐城壽の鈴木酒造など、東日本大震災で被災して復活した酒蔵はいくつもありますが、酔仙酒造もそのひとつです。だんだんと経営も軌道に乗ってきていると思いますが、私たちも飲むことで支援を続けていきたいですね。

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