「赤武」いつか大槌町で日本を代表する酒を

さきのブログでは、豪雨で壊滅状態になって復活を果たした「東洋美人」の話をしましたが、今回は東日本大震災で被災した岩手県の大槌町にあった赤武酒造の「赤武」をご紹介します。

大槌町は釜石の北にある海岸沿いの町で、リアス式海岸特有の自然にできた港湾状の土地によって、美しい景観とともにこれまでに何度も被災してきたという歴史があります。

大槌町から盛岡市へ

その最たるものが東日本大震災による津波でした。市街は津波によって壊滅状態となり、赤武酒造も同様に被災しました。本社はそのまま大槌町においていますが、現在は盛岡の復興蔵で酒造りを行っています。

なぜ盛岡かというと、盛岡市は所有していた施設等を被災企業に貸し出す事業を行っており、赤武酒造はその一部を借り受けリキュールの製造を始めました。その後、他の蔵元に間借りする形で平成23年に「浜娘」の醸造を再開。そして酒造組合の補助金制度を利用して盛岡市から借地可能な土地の紹介を受けて復興蔵を建て、現在に至っています。

幸いなことに酵母は岩手県の醸造試験場に保管されていたため無事でしたが、水が違うため、古舘秀峰社長はまた一からの酒造りという気持ちで再開したということです。

赤武酒造は主力酒である「浜娘」を中心に醸していますが、「赤武」は若き六代目の古舘龍之介氏を中心に醸された新銘柄です。勇ましい兜の絵が、復興への気合いを感じさせます。

写真は「赤武 純米吟醸」です。酒米は岩手県の「吟ぎんが」で精米歩合50%、酵母は「ジュバンニの調べ」とまさに岩手代表です。

勇ましいラベルとは反対に、とても繊細な香りと味わいで、純米吟醸ですが甘味はすっきりとしており、蔵元がオススメのワイングラスで香りを楽しみながら飲みたい一本です。

2018年のSAKE COMPETITIONでは、この「AKABU 純米吟醸」は純米吟醸酒部門のSILVERをとっています。もちろんGOLDにも「AKABU  純米吟醸 愛山」、「AKABU 純米吟醸 雄町」が選ばれました。こちらは控えめな兜の図案ですね。

さらに純米大吟醸酒部門でも「AKABU 純米大吟醸 極上ノ斬」がGOLD、IWC SAKE部門で「AKABU 純米大吟醸 結の香」がGOLDなど、わずか5,6年の間に龍之介氏の酒造りは進化を続けています。

赤武酒造の現社長、古舘秀峰氏の「大槌町で浜娘を再び醸す」という目標もその時期が近づいてきたと思いますし、私も微力ながら応援していきたいと思います。

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