「にいだしぜんしゅ」すべてを自然のままに醸す蔵
今回は、福島県郡山市田村町で1711(正徳元)年創業の仁井田本家です。自社田で「無肥料自然栽培」によって作った米と自社田近くの「竹の内の井戸水」(硬水)と、自社山から湧き出る「水抜きの湧水」(軟水)という二つの天然水をブレンドして使用しています。代表酒は「しぜんしゅ」という通り、「蔵つき酵母」など、すべてを自然のもので醸す蔵です。
「にいだしぜんしゅ 生酛 めろん3.33」使用米は明示されていませんが、自社田で作る「トヨニシキ、亀の尾、五百万石、夢の香、こしひかり」のどれかの60%精米で「竹ノ内の井戸水」(硬水)で醸されています。
「しぜんしゅ」シリーズは蔵に伝わる独自の「汲み出し四段」という製法で仕込んでいて、その四段目の仕込みに使用する蒸米の量を通常の1/3に減らし、三段+1/3(=0.33)段という事で、「3.33」となりました。
四段目の仕込みの蒸米が少ないので甘味も控えめになっており、ピチピチのガス感と丁寧に醸された旨味とフルーティな香りがいいです。安心できる材料を使っているというのもウリですね。
「しぜんしゅ」のほかには「穏」、流通限定品の「田村」などを醸していますが、すべて自然派ということで、田んぼには肥料も除草剤も使わず、水を守るために山を管理するなど徹底しています。
地元の自然を守りながら、体にやさしい日本酒を醸す。まさに長命の一滴。これからの蔵元に必要な考え方なのではないでしょうか。