「白菊」奥能登で確かな酒を造る蔵
今回は石川県輪島市で1722(享保7)年、廻船問屋として創業した「白壁屋」が質屋業を経て、江戸時代末期に酒造りを始めた白藤酒造店の「白菊」です。輪島市で廻船問屋ですから、北前船の頃にはたいへんな賑わいだったと想像されます。こちらは名主らしく代々「喜一」を名乗るようですが、現在は9代目の白藤喜一氏が蔵元杜氏として蔵を率いています。
白藤酒造店がある鳳至町から国道249号線を南下したところには黒島町という、廻船問屋の家屋が多く残っている地域があります。とくに国指定重要文化財の旧角海家住宅が有名です。
そんな輪島市で「白菊」を醸しているわけですが、岡山や茨城、高知などにも同名の日本酒があるため、こちらでは「奥能登の白菊」と呼んでいます。
写真は「奥能登の白菊 特別純米無濾過生原酒」麹米が山田錦で掛米が五百万石の55%精米。槽搾りの特別純米酒を滓引きして瓶詰しています。石川県の日本酒は旨口で若干重いイメージがありますが、こちらはちょっと重めの旨口で、後口スッキリ系です。能登のおいしい魚に合いそうです。
仕込み量が少ないため、なかなかチャレンジ銘柄を醸すというわけにはいかなそうですが、若き杜氏の進化に期待したい酒蔵です。