「町田酒造」蔵元名がそのまま名前になっている酒
今回は、日本酒好きなら知らない人は少ないのではないでしょうかという酒。明治16年、群馬県前橋市で創業した町田酒造店です。地元酒は「清りょう」(”りょう”は口へんに”尞”)という蔵ですが、私たちには日本酒「町田酒造」のほうがなじみ深いですね。
東京あたりでよく目にするのは55%精米の「町田酒造55」シリーズです。
こちらは「町田酒造 特別純米55 美山錦」長野県産の美山錦で醸したもので、さわやかな果実香と甘味が絶品です。
「町田酒造 特別純米55 五百万石」は新潟県産五百万石でフルーティな香りにさっぱりした味わい。
蔵名がそのまま酒名になっているということで、蔵の名前を売るには一番です。杜氏は町田三姉妹の長女、町田恵美さん、ご主人は5代目社長の晶也さんで、お二人が蔵に入ってから、「清りょう」の伝統は守りつつ、新しい酒造りに取り組んだ結果がこの「町田酒造」です。「蔵人一丸となり美酒を醸す」という意気込みでつけた名前だそうですが、恵美さんが酒を醸し、晶也さんは各地に出向いて消費者の嗜好や購買傾向などを調査し製品づくりの提案を行っているという、まさに「夫唱婦随」の銘柄ですね。
そのオープンな活動の結果が、「町田酒造 純米吟醸55 雄町」。これは私がよく行く「京橋もと」限定の直汲み生原酒で、岡山県産雄町のにごりです。ピチピチ感と甘味、苦みのマリアージュがたまりません。東京に何店かある「もと」グループの皆さんはよく町田酒造に行かれて、タンク一本分を店舗オリジナルとして瓶詰めしたりしています。
こんな店舗限定の瓶詰があるのが町田酒造の特徴ですが、下の写真もそのうちのひとつです。神田にある名店「光寿」のオリジナルラベルがついた「町田酒造 純米吟醸 光寿 超限定 袋吊り 斗瓶囲い」兵庫県産山田錦100%使用の55%精米です。日本酒度はー2で、山田錦の安定した味わいが際立った一本です。
酒好きが集まる店でオリジナルラベルを提供していけば、当然名前も知られますし、商圏の拡大にもつながりますね。ただ、私の行きつけの矢島酒店では取り扱いがないので、購入したことはありません。大量に醸している蔵ではないので、呑み処で見つけたら飲ませてもらうということで今後も行きたいと思っています。