秋あがり、ひやおろしの季節「山形政宗」

ここ数日、暑さもぶり返していますが、酒店さんには「秋あがり」や「ひやおろし」といった製品が並び始めています。

酒の仕込み期間は限られていますので、基本的に夏場に新酒は出せません。そこで冬場に仕込んだ酒をそのままタンクで冷温貯蔵してひと夏を越したものを瓶詰して市場に出すのが「秋あがり」や「ひやおろし」というわけです。

昨日の川鶴の会のダメージは若干ありましたが、さっそく船橋の矢島酒店に向かい「山形政宗 純米吟醸 秋あがり」を購入してまいりました。山形県天童市にある明治31年創業の水戸部酒造で醸される「山形政宗」は全量純米仕込みで、こちらは兵庫県産山田錦100%使用55%精米の純米吟醸酒です。水戸部酒造では自社田でも山田錦を作っているようですが、こちらは兵庫県産のものです。

水戸部酒造は山形県でも有名な「山寺」を源流とする水を使用していますが、これが硬度120という硬水なんです。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」といいます。 硬水を使う蔵は全国でも少ないですが、「川鶴」「風の森」なども硬水使いの蔵ですね。

硬水を使うとなかなか米が溶けにくいようですが、そのおかげで酸が立っている「山形政宗」の特徴を生み出しています。また2015年には蔵の全面改装を行い、酒造りに適した環境を作り出しました。そこで造られた「秋あがり」ですが、ガス感がほんのり残っていて、酸が立っています。ですが奥のほうに甘味が控えていて、飲み飽きしないものに仕上がっています。HPによれば、ここ数年でもベスト3に入る出来だそうです。

山形政宗を代表する1本としては、ふるさと納税でもいただいた「辛口純米 出羽燦々(自社田産)」「純米吟醸 雄町(赤磐雄町)」があり、通年商品として販売されています。どちらも酸と甘味の絶妙な組み合わせで辛党の舌を喜ばせてくれます。

生ハムも輸入していたり、幅広く商いを行っている水戸部酒造ですが、従業員は季節限定の方を入れても14名。水戸部社長は全国を飛び回っておられますので、たいへんなご苦労をされているのでしょう。

それでも時は経ちますので、「秋あがり」のあとはお待ちかねの「新酒」と「うすにごり」です。今年の出来はどうでしょうか。正月の定番酒として楽しみにしています。

 

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