「飛鸞(ひらん)」かつての呼び名を冠した平戸市の酒

今回は、長崎県平戸市で1895(明治28)年創業の森酒造場です。創業当時は小松屋という商号で清酒「菊の露」、焼酎「仙滴」を醸していましたが、1955(昭和30)年に創業者の名前の森酒造場となりました。現在のメイン銘柄は「飛鸞(ひらん)」です。酒蔵は平戸島にあり、九州本土をつなぐ平戸大橋寄りにあります。

酒名「飛鸞(ひらん)」は、平戸がかつて世界に開かれた港だったときに「ヒラン」「フィランド」と呼ばれていたとことから名付けられました。「ヒラン」は「飛鸞」となり、「フィランド」はそのまま平戸にある春日棚田米を使用した低アルコール9度の日本酒の名前となり、「ロンドン酒チャレンジ」で金賞を取っています。

それらを醸す杜氏は、まだ29歳(2020年1月現在)の5代目蔵元杜氏兼専務、森雄太郎氏です。宮城県の浦霞で3年間修行したのち森酒造場に戻り、2018年から仕込を始めています。

「飛鸞 純米65」山田錦20%、平戸産にこまる80%使用で65%精米です。酒米の「にこまる」は長崎・大分・静岡・愛媛・高知県で奨励品種とされている食用米で、人気の「ヒノヒカリ」を凌駕する主力銘柄として期待されていますが、酒米にはほとんど使われていません。森杜氏が目指すテロワールの一環なのだと思われます。

浦霞で修行されただけあって、味の傾向が似ていると思います。長崎県というよりは宮城県のスッキリ辛口の旨口。刺身などに合う味わいで、高いレベルの日本酒だと思います。

前回の「加茂錦」と同様、若き蔵元、森杜氏のチャレンジを応援したいと思います。

酒蔵見学も常時行っているということですので、世界遺産めぐりと一緒に酒蔵も訪れてみてはいかがでしょう。

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