「純青」地の利に驕らない真摯な試み

ここのところ山口県が続いたので、今回は日本酒の本場、兵庫県加西市で1839(天保10)年創業、 富久錦株式会社が醸す「純青」です。レギュラー酒はもちろん社名の「富久錦」。加西市は特A山田錦の産地、加東市の隣にあり、古くから酒米が栽培され、なかでも山田錦の栽培の盛んなところです。また、仕込み水は軟水の井戸から取っていて、酒造りに適した土地柄です。

同じような名前で灘の「富久娘」というのがありますが、それとは関係ないようです。ちなみに「富久娘」は現在、オエノングループの傘下に入っていて、日本酒は千葉県松戸市で造っているようですので、灘とも関係なくなっています。

そんな日本酒の本場にある富久錦は、加西市産のコメにこだわっていて、山田錦、キヌヒカリ、兵庫夢錦、愛山で純米酒のみ醸す、純米蔵です。そのなかで、2014年、新しいコンセプトで醸されたのがこの「純青」です。もともと日本酒造りに適した地だった兵庫県ですが、灘の大企業ばかりが有名になってしまったために、新しい日本酒好きには敬遠されてきたような気がします。かくいう私も〇正宗や〇菱、〇関、〇桂冠、〇鶴など、進んで飲むことはありません。

そんな土地だからこそ、小さいながらも頑張っている酒蔵を応援したいですね。

「純青」は加西市産山田錦、愛山、キヌヒカリ、夢錦を使って、生酛造りで醸しています。

写真は「純青 生酛特別純米 山田錦」加西市産山田錦100%使用、60%精米の無濾過です。最初は「富久娘」と勘違いしてしまい、大企業が趣味で作ったこだわりの酒かと思ってしまいましたが、適度な甘味が旨味となって美味しく、とても後口もよかったのでもう一度ラベルをよく見たら「富久錦」だったというわけです。

富久錦のレギュラー酒「富久錦」はSake Competition2018の「ラベル部門」で1位となっています。「富久錦」を呑んだことがないので写真をお見せできませんが、「富久錦」の「ふ」をデザインしたものになっています。リンクを貼りましたので、興味のある方はご覧ください。

特Aとは言わないまでも、限りなく特Aに近い酒米を使用しながらそこに胡坐をかくこともなく、自分たちの酒造りにこだわってい姿勢に好感が持てます。歴史はとてもありますが、今後の新しい歴史に期待したい蔵です。

 

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