「百春」うだつの上がる蔵で造る岐阜の酒

今回は岐阜県美濃市で江戸時代に酒造業を始めたとされる小坂酒造場の「百春」です。小坂酒造場のある小坂家の住宅は安永二年(1773)と記された祈祷札があることで、安永年間に建築されたとされ、国指定重要文化財に指定されています。

重要文化財に指定されたのはその古さもありますが、「卯建造り」という特徴ある様式を取っていることがあります。美濃市内に卯建造りの町家は20ほどありますが、なかでも小坂家は「三本卯建」で際立っています。ところで「卯建造り」とはどういうものでしょうか?

「卯建(うだつ)」とは隣家との境界に取り付けられた防火壁のことで、裕福な家にしか付けることができませんでした。このことから、「うだつ」を付けた家に住めない人のことを「うだつの上がらない人」と呼ぶようになったということです。

その「うだつの上がる」小坂酒造場で醸す「百春 特別純米酒直汲 生原酒無濾過#15」。麹米に富山県産五百万石、掛米に岐阜県産米で60%精米。軽くガス感があり、バランスの取れた旨味があります。特別純米直汲みには五百万石のほか、雄山錦、美濃錦もありますね。

こちらは27BY の「百春 特別純米酒直汲 生原酒無濾過」。ラベルの色が変わっておりますね。フリガナも振られています。一見、「百券」に見えるからでしょうか(笑)

年間300石という少量生産の蔵で、これだけの日本酒を出してくるのですからたいしたものです。ほかに、近所の関市で開発された「美濃錦」を使った日本酒「山野豊(さんやほう)」も醸しています。また、この「さんやほう」の原料米となる「美濃錦」の栽培を手伝う「さんやほうサポータークラブ」という活動も行って、地元産日本酒の振興にも一役買っていたりと、歴史のある家柄ならではの取り組みを応援したいですね。

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