「江戸開城」東京港区で醸す酒

今回は東京23区で唯一の酒蔵、港区芝にある「東京湾醸造」です。今年の2月まで北区の小山酒造が「丸眞正宗」を醸していましたが、製造をやめてしまったためです。有名な赤羽のおでん屋「丸健水産」では「丸眞正宗」のマルカップを出していましたが、現在どうなっているのでしょうか? しばらく伺っていないのでわかりませんが、結局おでんのダシ割りにしたら日本酒の味はわからないですし、まあいいんじゃないかと思います。

ちなみに両国駅にある「江戸NOREN」内の東京商店では23区だけではなく、東京都にある酒蔵の日本酒がすべて自動利き酒マシンで飲むことができます。値段は300円~500円。おちょこに1杯ですから、これが安いとみるか高いとみるかはあなた次第です(笑)

ここにはまだ、丸眞正宗がありました。このときは大吟醸で2位でしたね。右側に100円玉を入れると下のまどから1杯分の酒が注がれるという仕組みです。

その「東京湾醸造」ですが、歴史はあります。1812年、芝で創業ということですから、200年も前に江戸に進出していました。それから約100年前に酒造業をやめ、また100年後の2010年にどぶろくの製造から再開して、2016年に清酒の製造免許を取得し「江戸開城」ブランドで復活したという蔵です。

酒蔵といっても東京のど真ん中、港区にある芝ですから、大きな蔵がまえというわけにはいかず、マンションの縦の高さを利用した酒造りです。イメージとしては秋田の「ゆきの美人」でしょうか。

また、使用水は東京の水道水。23区に供給されている水道水は高度浄水処理が施されているため、安定した酒造りに適しているそうです。

タンクも何本もあるわけではないので、日々進化し続ける東京をイメージして少量ずつ醸しており、使用米や酵母はTSナンバーを見ることでわかるようです。

「純米吟醸原酒 江戸開城 山田錦」こちらのTSナンバーは86です。兵庫県産の山田錦を使っている定番品ですね。右は「江戸NOREN」にもあった同じ製品です。

季節ごとにラベル文字の色が変わる製品もあり、こちらは春の酒。「純米吟醸原酒 江戸開城 美山錦」です。文字の色がピンクできれいですね。

少量しか醸造できないということは、逆に言えば、さまざまな試みができるわけで、また蔵付き酵母もないので、酒米にしろ酵母にしろ、かなりの組み合わせが醸造可能となります。当然、その長所を生かした酒造りが行われているようですので、この東京の酒蔵による日本酒の進化や将来に期待が持てそうです。

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