「木戸泉」酒造りに独自路線を貫く千葉県の酒

今回は東京の隣、千葉県の日本酒を紹介します。

酒好きな人でも千葉県の日本酒銘柄をいくつも即答できる人は多くないと思いますが、実は全国でも7番目の生産量を誇る酒どころなんです。酒蔵は35軒もあり、それどころか明治33年には237軒もあったというのですから驚きです。

ただ、酒蔵が多いということは、全体の生産量が多くても一軒あたりの生産量は少ないということになるうえに、千葉県の人口は600万人もいるので、基本的には地産池消で商売をやっていける状況のようです。そのため、地元以外ではなかなか見ることがないということだと思われます。

もともと千葉県はみりんや醤油の産地として有名ですから、発酵技術には優れたものがありますし、食米でも日本穀物検定協会でAランクの『千葉県産コシヒカリ』、千葉県産ブランド米『ふさおとめ』など米どころとしても有名です。

その組み合わせで醸された日本酒が旨くないわけがありませんし、それが県外に出ていないというのももったいない限りです。

外房の木戸泉

今回、ご紹介するのは明治12年創業、いすみ市大原にある「木戸泉酒造」です。千葉の日本酒のなかでは比較的手に入りやすいと思います。蔵は外房にあり、主に千葉県産米を使用、高温山廃仕込みという昔ながらの方式を導入し、防腐剤を使わず劣化しない長期熟成酒の開発に成功。以後、長期熟成酒の本格的生産に取組んでいます。

木戸泉酒造を代表する日本酒といえば濃厚多酸酒「AFS(アフス)」ですが、酸味の強い濃厚な味わいで、他に類を見ない特徴を持つ日本酒です。長期保存可能ということで、期間によって色みが茶から黄金色、無色などさまざまなバリエーションとなっていますが、共通するのは酢やみりんのような味がするということです。なので、私はちょっと苦手です(笑)

ということで、こちらも独特な香りと酸がありますが、「AFS」よりは飲みやすいです。千葉県産米を使った「木戸泉 純米火入れ」。

「木戸泉 PURE PURPLE 雄町 無濾過 生原酒」。木戸泉ならではの製法で岡山産雄町を始めて使った2015BYです。雄町の甘味に酸が加わっているので、とても複雑な味です。

このほかにも蔵で試飲もできる酒々井の「甲子正宗」、成田山新勝寺参道にある「長命泉」、新酒鑑評会金賞を何度も取っている香取市の「東薫」など、お勧めしたい蔵が多くあります。

意外と知られていない千葉の日本酒、ぜひお試しください。

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