「屋守」ヤモリをアイコンにする東村山の酒

「江戸開城」に続いて東京都東村山の酒「屋守」と書いて「おくのかみ」と読みます。

「屋守」を醸す豊島屋酒造は、初代の豊島屋十右衛門さんが1596年に、本当の意味での下町である、神田鎌倉河岸で一杯飲み屋を始めたことに由来します。当初は関西の酒を仕入れて店に出していましたが、明治には灘で酒造りを開始し、昭和初期に東村山に蔵を移転しました。当初から醸しているのは、明治天皇の銀婚式を祝って醸した「金婚正宗」。なぜ「金婚」なのかわかりませんが、なぜか「銀婚」もあります。創業者の名を取った「金婚 十右衛門」はリーズナブルな値段で供されています。

豊島屋酒造の親会社である豊島屋本店は今も神田猿楽町にあるようですが、その歴史の古さによって、明治神宮、神田明神に清酒「金婚」を納めているようです。初詣などで訪れる機会がありましたら、樽をさがしてみてください。

と、歴史はこのくらいにして、東村山の豊島屋酒造に戻りましょう。

「屋守」という命名の由来ですが、ふつうに爬虫類のヤモリ(家守とも書きます)のことです。ヤモリは家に棲む害虫を食べてくれて「家を守る」生き物としてありがたがられていました。その名の通り、豊島屋酒造とお客さんを守ってくれるという願いを込めて「屋守」としたということですが、読み方は「おくのかみ」としました。

仕込み水は地下から汲み上げた水を使い、全量無調整、全量ビン貯蔵を行っています。

「江戸開城」同様、酒米は全国のものを使えますので、東村山の地下水と酵母で味が決まりますね。

「屋守 純米吟醸 直汲み無調整生 岡山県産雄町」

雄町ですから、香りが高く、甘味がありますが、後味はさっぱりしています。

「屋守 純米中取り 無調整 広島県産八反錦」

こちらは八反錦ですので、香りはありますが、甘味控えめで後味サッパリですね。

瓶のどこかにいるヤモリがかわいいです。

ちなみにヤモリは爬虫類、イモリは両生類なので、似て非なる生き物です。色はイモリのほうが華やかな種類もいますが、毒があるので気をつけましょう。逆にヤモリは地味ですが、ゴキブリや蚊を食べてくれて、家を守ってくれますので、気持ち悪がらずにそっとしておいていただければと思います。

豊島屋酒造は蔵見学もできるようですので、ホームページから申し込んでみてはいかがでしょうか。西武新宿線の東村山駅が最寄りで、少し足を延ばせば西武園ゆうえんちや西武ドームなどもありますよ。

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