「大観」日本画の巨匠の名を冠した酒

今回は茨城県日立市で1869(明治2)年創業、太平洋まで30メートルという立地にある森島酒造「大観」です。昭和20年に戦災で焼失した蔵をなんと大谷石で再建したという歴史があります。

酒名の「大観」ですが、日本画の巨匠、横山大観が水戸の出身で森島酒造4代目と親交が深く、ある年の新酒がいたく気に入ったようで、自分の名を冠してはどうかと提案されたそうです。昭和28年に日本酒「大観」が誕生し、それ以降、数々の賞を取っています。ラベルの「大観」の文字はもちろん横山大観によるものですが、達筆なので観が勉に見えてしまいますね。ラインナップには横山大観の有名な作品「白砂青松」を使ったものもあります。

私が呑んだことがあるのは「大観 純米吟醸 雄町」の「14号酵母仕込み生酒」。「14号酵母」は「金沢酵母」の中から吟醸香を生成する能力が高い株を選択した酵母ということで、フルーティな香りが口の中に広がります。こちらは岡山産雄町50%精米ですが、純米吟醸での出荷です。

そして「大観 純米吟醸 雄町」の「瓶燗火入れ」。2016IWC純米吟醸酒の部でGOLDメダルを受賞しています。こちらも岡山産雄町50%精米ですが、純米吟醸での出荷です。火入れだけあって、若干おとなしめの味わいがまたいいですね。

ちなみに、呑んだことはありませんが、山田錦100%使用50%精米「大観 純米大吟醸」はこの9月までJALの国内線ファーストクラスに採用されていました。

「大観」を醸しているのは杜氏の森島正一郎専務。森島杜氏は茨城県で初めて南部杜氏の試験に合格して杜氏になりました。南部杜氏協会は日本酒振興の意味合いもあって、岩手県だけでなく他県出身者にも南部杜氏への道を開いており、その試験に合格すると南部杜氏を名乗れるということです。

自分の目指す酒造りのために試験を受けて杜氏になるという努力家の専務が醸す「大観」。これからも期待ができますね。

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