「冩楽」日本酒界の次代を担う若き蔵元

今回は福島県会津若松市で昭和30年創業の宮泉銘醸「冩楽」です。昭和30年という比較的若い蔵なのにすでに大物の貫禄をみせています。

「飛露喜」をはじめとした福島県の蔵元が協力しあっている中で、中兄に当たる感じでしょうか。なんといっても私が一番好んで飲んでいる銘柄です。社長の宮森義弘氏は42歳。成蹊大学工学部卒で富士通関連会社勤務という経歴ですが、蔵人が辞めてしまい急遽実家に戻ることになりました。そのとき出合ったのが「飛露喜」で、地元に目標となる日本酒ができたそうです。「飛露喜」は同じ会津にあるプレミア日本酒の先輩ですから、恵まれた環境にあったのだと思います。

そんな「冩楽」ですが、地元酒は社名の「会津宮泉」です。「寫楽」もなかなか買えませんが、こちらはさらに希少ですね。また、「玄武」という焼酎も造っていますが、見たことがありません。

そんな「冩楽」、「会津宮泉」はともに通年商品と月ごとに異なるラインナップで販売しています。

「冩楽」の通年商品は、米どころでもある福島県の酒造好適米「夢の香」を使った「純愛仕込 純米酒」と同じく福島県産の酒造好適米「五百万石」を使った「純愛仕込 純米吟醸」。ラベルには「米を愛し、酒を愛し、人を愛す。みなさまに愛される酒を目指します」とあります。これが純愛仕込ということなのでしょう。もちろん正価で購入出来ればコスパ最強です。

月ごとのラインナップでは12月と1月の「純米吟醸 おりがらみ生」は私の年末年始の定番です。これと「山形政宗」のうすにごりで年越しをしています。後者のグレープフルーツのような味わいに比して、少し苦みが残ったおりがらみは盃を止められません。

その他には、特Aランクの播州山田錦、備前雄町、播州愛山、酒未来、羽州誉といった希少かつ大人気の酒米を使用し、「冩楽」ならではのすっきりした甘味と少し酸のあるぜいたくな美味しさを実現しています。写真はたまたま飲めた「赤磐雄町」「備前雄町」です。産地で違う味わいが見事に表現されていました。

「会津宮泉」は「冩楽」に比べると若干辛口に振れていて、甘味が嫌な人にはオススメです。「純米酒 火入」は「SAKE COMPETITION 2018」で金賞を受賞したほどの出来(純米酒部門で10銘柄が金賞を受賞していて福島県では「冩楽 純米酒」、「飛露喜 純米」と3銘柄が受賞)。値段も若干安いですから、店頭で見かけたらお試しあれ。

いずれにしても、私が人にオススメを聞かれたら、間違いなくナンバーワン候補となる銘柄です。

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