酒の未来を語ろう!「酒未来」という酒米の話
今回は、日本酒の未来について語りましょう!
というのは冗談で、「酒未来」という米について語ります。
以前、「愛山」という人気米について書きました。剣菱酒造が独占していたこの銘柄は、蔵元が阪神大震災で被災したため、十四代で有名な高木酒造が援助して広まったものでしたが、「酒未来」はその高木酒造の十四代蔵元・高木辰五郎氏が18年の歳月をかけ1999年に生み出した新しい酒米です。
長野県の美山錦と山田錦の系統をもつ母米を掛け合わせて作られた「酒未来」は、これといった酒米のない東北地方に根付かせるべく、高木氏が精魂こめて作った酒米なのです。
『みちのく羽州の気候、風土に合った、短稈、耐寒、大粒、円盤状心白等を備えた酒米を十八年の歳月をかけ交配、育種を重ね成功し、この酒米を「酒未来」と命名。』(十四代HPより)
当初は「くどき上手」に提供し、自社の「十四代」で使用し始めましたが、「愛山」でも全国の志ある酒蔵に提供してきた高木氏は、この「酒未来」も志ある若手の造り手に「使ってみないか」と提案しているのです。費用と年月をかけた酒米を、それこそ日本酒の未来のために提供していくなんて、どれだけ奇特な方なんでしょうか。
その思いに応えた酒蔵(銘柄)は、「くどき上手」「山形正宗」「榮光冨士」の山形勢をはじめ、「而今」「写楽」「宝剣」「天青」「東洋美人」などそうそうたる面々です。
とくに山口県の「東洋美人」は、大雨の被災から復興し「原点」シリーズを醸していましたが、今年5月から、そこから一歩踏み出したことを表す「ippo」シリーズに変わり、その最初の銘柄が「愛山」、第2弾が「酒未来」と、未来に向かって進んでいることがわかるラインナップとなっています。
残念ながら、私は「十四代」「東洋美人」などは飲むことができていませんが、幸運にも飲むことができた銘柄をご紹介します。
「而今 純米吟醸 酒未来」
「榮光冨士 純米大吟醸 酒未来」
ちょっと硬めの味わいが飲後感をすっきりさせます。高木社長の思いをぜひ味わってみてください。
私もいつか、十四代の酒未来を味わいたいと思います。