槍ヶ岳リベンジ(その1)

半月前に酷い目にあって、イヤになっていたのもつかの間。毎日のように「てんきとくらす 槍ヶ岳」を見ている私がいました。報道では「今年は例年になく台風が来ない」と報じられていましたし、実際に来ていません。気象も安定していてA判定の日が多くなっていました。

そして、2020年の槍ヶ岳山荘は10月24日(土)で営業終了、近くのヒュッテ大槍は10月10日、殺生ヒュッテは9月で終了と、新型コロナの影響で営業終了日が早まっていました。その報に触れるたび、今年のような人出の少ない槍ヶ岳はもうないのではないかと、妙にリベンジを果たしたくなる気持ちが湧いてきてしまいました。

天気も良く、人も少ない。よし、計画を立てよう。と思いましたが、さすがにふたたび表銀座コースを選択するのは会社の休暇の関係(前回3日間休みを取ってしまった)から無理があるため、長いけど1泊2日も可能で比較的安全と言われる槍沢コースを選び、念のためヒュッテ大槍も営業している10月10日を目標にしました。

そこで、10月1日、深夜バスの空き状況と槍ヶ岳山荘に予約の電話を入れてみることに。するとどうでしょう。深夜バスの空きは1席、槍ヶ岳山荘もギリギリ入れてもらえるという、なにかの縁で導かれたような状況でした。

これは行くしかない!

誰もがそう思うと思います。もちろん「てんきとくらす」はA判定でしたから。そう、翌週になるまでは・・・・・・。

まさかの台風発生!

ところが、翌週になってすぐ「台風発生」の一報が出されました。「今年は槍ヶ岳に縁がないのかも」と思いましたが、なにか動きがあやしげです。バスのキャンセル料も出発直前まで100円、山小屋はキャンセル料がありません。とりあえずギリギリまで待ってみようと思いました。

ご存知のとおり、この台風14号は微妙なところを通る予報になっていて、当初はまったく無理だと思っていましたが、だんだんと南側にコースを取り始め、「てんきとくらす」もまったくのC判定からB判定に変わっていき、最後にはA判定も出るようになっていました。

そこで、とりあえず決行することにし、雨の中、新宿のバス乗り場に向かいました。ですが、周りには誰もいません。発車直前に2名ほど来られましたが、バスは2台。私はひとりでバス1台を貸し切った形になり、上高地バスターミナルに向かいました。

上高地は雨の中

初台から中央高速に乗り、松本IC、さわんど駐車場、5時20分の上高地バスターミナル到着まで、雨はまったく止みません。上高地に到着するときはいつも雨なのはなぜでしょうか。一応、昼頃には止んでB判定になる予定でしたが、どうしようもないので、朝食としておにぎりを2つ食べ、水を補給して6時に出発しました。

(写真:雨の河童橋、距離的にちょうど中間の横尾)

とにかく急登前の槍沢ロッヂまでが長いので、少し速足で歩き、びしょ濡れで9時51分に到着。雨中の紅葉が少し気を紛らせてくれましたが、当日下山してきた人がいて「昨日は最高でしたよ」と言われ、こっちは最悪だよと思いながら「そうですよねー」と愛想返しをしました。山荘までどのくらいですかと尋ねると「5時間」は見たほうがいいのではと言われたため、かなり気持ちをそがれてしまいました。ヒュッテ大槍は3人しか宿泊客がいなかったと言っていましたし、もしかしたら槍沢ロッジまで引き返してくるのかもと思いながら、カロリーメイトを二袋食べて10時に出発しました。

雨中のひとり旅

槍沢ロッジを出発すると、次第に雨も止んできました。これ幸いとスピードを上げようと思いましたが、急登が始まって、そこまでのハイペースがたたったのか、無理が効きません。10歩進んでは休みしながら少しずつ登っていきます。モヤのかかった紅葉は最高潮であることがうかがわれ、明日写真をさんざん撮ってやるからなと思いながら、とにかく前に進むしかありません。

前後には人がいなかったので、道の途中で止まっていても誰にも迷惑をかけずにすみましたが、なにしろ先が見えないので、苦行ともいえる状況です。まあ、そんな状況でもコースタイム前後で歩いていたので、さすがに5時間はかからずに着くだろうというようにしか思わないようにしました。

登山道は槍沢ロッジから1時間30分ほど行った氷河公園分岐のあたりから岩が多くなり、吹きっさらしなうえに霧雨が降り始めて気温が下がりはじめました。視界も悪くなってきて、それだけで気持ちが折れかけましたが、さらに追い打ちをかけるようにこんな看板が。

「殺生ヒュッテは本年度営業終了しました。肩の小屋まで行けない方は戻って下さい」

ひとりぼっちで行くも地獄、戻るも地獄の状況でしたが、前に進むことに。とにかく足元を見て一歩一歩進み、ヒュッテ大槍分岐、殺生ヒュッテ分岐を過ぎ、ようやく槍ヶ岳山荘が見えてきました。

(写真:坊主岩屋下・ヒュッテ大槍分岐)

山荘が見えてもピッチは上がりません。10歩進んで休むを繰り返し、14時ちょうどにやっとのことで槍ヶ岳山荘に到着しました。槍沢ロッジから4時間。いちおうコースタイムくらいな感じでしたが、まったくそんな感覚ではありませんでした。

部屋に入って濡れたウェアを乾燥室に入れ、乾いた服に着替えてロビーに。雨模様でうす暗いため、もう夕方かと思うような疲労感に襲われましたが、外では食べられなかったおにぎり2個と500mlの缶ビールを飲んでようやく落ち着きを取り戻しました。

するとどうでしょう。雨が止んで、だんだんと視界が開けてきました。(つづく)

 

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