「川鶴」香川県で全国区をめざす蔵

本日、なじみの店で「川鶴の会」が開かれたので行ってまいりました。

蔵元の川人社長がいらっしゃって、久しぶりの再会となりました。といっても一方的にこちらからの久しぶりです。

「川鶴」といえば讃岐うどんの香川県の銘柄で、悦凱陣や金陵などと一緒に供されている店もあります。思い起こせば10数年前、新宿に「恐るべきさぬきうどん」を著していた田尾さんと勝谷誠彦さんが麺通団の店を出されたときに、勝谷さんが「悦凱陣」が最高だということで、東京でいつでものめるのはここだけだと言っていたことを思い出しました。ただ、麺通団には川鶴は置いていませんでした。

ですが、私的に東京でナンバーワンなさぬきうどんの店「すみた」では用意されていますので、ぜひ味わってみてください。

川鶴酒造は1891(明治24)年創業、香川県観音寺市にあり、蔵の裏を流れる財田川に鶴が舞い降りたことで「川鶴」と名付けられたそうです。観音寺市は高松からみるとかなり西になりますので、高松のさぬきうどんの店に置いていないところがあるというのもわかります。

前段が長くなりましたが、本日のラインナップは以下の通りです。

一番左は仕込水で昔ながらのラベルですが、他のラベルは川鶴らしくないです。そのあたりを川人社長に尋ねたのですが、若い蔵人が増えていて、みなさんで相談しながらラベルデザインを決めているのだそうです。酒蔵はなかなか休みがとれないので、みんなで一つの作品を手掛けるといったことが蔵人のモチベーションになるのでしょう。

ただ、昔ながらのラベルも根強い人気がありますので、ぜひ続けていただきたいと思います。昔のラベルはこんな感じ。

最初の写真では仕込み水を除いて左から「純米80 雄町」「特別純米 山田錦:オオセト」「純米 限定槽場直汲み 無濾過生原酒 オオセト」「純米吟醸 雄町」「純米吟醸 特別ブレンド 雄町・オオセト・さぬきよいまい・山田錦」「川鶴light power the taste」「川鶴undiluted sake」「Heart&Soul 純米 自家栽培米山田錦」「純米大吟醸 山田錦・オオセト」です。

すべておいしいのですが、このなかでとくに私がオススメしたいのがこの3本。私はブレンド酒が好きで、山形県の「上喜元」の「翁」は必ず購入しています。ブレンド酒というのは、米ごとにタンクで仕込むわけですが、瓶詰めするときに必ず残りが出てしまうわけで、捨てるにはもったいないということで純米大吟醸から純米までブレンドしてちょっと安くして出していただけるわけですが、これが間違いなく旨い! わけです。

こちらは「純米吟醸 特別ブレンド 雄町・オオセト・さぬきよいまい・山田錦」。旨いブレンドなので旨いに決まっていますね。ラベルはブレンドを意味しているそうです。やはり川鶴らしくないですが、言わんとしていることはよくわかります。

そしてもう一本は雄町を80%精米したチャレンジングな酒ですが、この雄町は岡山県で農薬や化学肥料に頼らない特別栽培に取り組む「まめ農園」産の雄町です。低精米の雄町はなかなか飲めませんが、雄町らしからぬスッキリ感の底に雄町の甘味、渋味があるという希少な一本です。

そして最後は「純米 限定槽場直汲み 無濾過生原酒 オオセト」。こちらは限定300本の醸造で、私の行きつけの矢島酒店のみに卸しているそうです。昨年末の瓶詰ですが、今日開けたての一本はガス感バリバリの最高の一本でした。オオセトとさぬきよいまいは四国の酒米ですが、オオセトはなかなか溶けにくく仕込みが難しいので掛け米に山田錦を使用、さぬきよいまいはオオセトに山田錦を掛けた米なので逆に溶けやすく、そのふたつを同じように仕込むのは技がいると思います。

現在は○○杜氏という人が高齢化し、各酒蔵が自前で杜氏を兼務するという動きがあるそうで、川鶴もそのように蔵を運営しています。川人社長を中心に若手の意欲が今の川鶴に活かされていますので、微力ながら私も応援していきたいと思っています。

フォローお願いします。