「備前幻」赤磐雄町のお膝元で醸す酒
今回は岡山県赤磐市で1688(元禄元)年創業、室町酒造の「備前幻」です。赤磐市といえば「赤磐雄町」ですね。言わずと知れた米どころで、余った米を使った酒造りが行われていました。もともと花房本家酒造という名で「敬花」という酒を醸していましたが、日本橋室町の三越のプライベートブランドとして「室町」を醸したことで現在の室町酒造となりました。その後、商標権の問題で「櫻室町」となりますが、東京とも縁があったわけですね。
その後は山田錦など一般的な有名米を使って醸していましたが、1985(昭和60)年ごろから全面的に地元の最高米「赤磐雄町」に切り替えて酒造りを行います。赤磐市にある酒蔵ですから、地元ならではの強みを前面に出すのが勝利の鉄則ですね。他県ではその強みを求めるべく、酒米の開発を行っているわけですから。
おまけに使用水は日本の名水百選にも選ばれている「雄町の冷泉」。池田藩の御用水として有名で、旭川の伏流水が湧き出している井戸はかつて「殿様井戸」とも呼ばれていたそうです。
そんな雄町コンビを使った「備前幻」です。左は「大吟醸」もちろん赤磐雄町100%で50%精米ですが、アル添です。キレ味を求めたのでしょうか。右は「特別純米酒」65%精米です。味わい的にはこちらのほうが好みです。値段も若干安いですし(笑)
地元に素晴らしい酒米があるというのは、やはりアドバンテージになりますね。雄町が高価で手に入りにくいのはもちろんですが、A級の赤磐雄町を契約農家の皆さんに作っていただけるというだけでうらやましいという酒蔵が多数あることと思います。
できれば今の流行のフルーティで爽やかな感じの銘柄にもチャレンジしていただけると、よりありがたいですね。