「スキー正宗」戦前に名付けられた歴史ある新潟の酒
今回は、新潟県上越市で1916(大正5)年創業の武蔵野酒造「スキー正宗」です。上越市(旧高田市)は1911(明治44)年にオーストリアのレルヒ少佐によってスキーが伝えられた「スキー発祥の地」です。そのことから旧高田市がスキーを奨励したこともあって、もともと「越山正宗」を醸していましたが、約80年前に「スキー正宗」と改名しました。新しいのかと思ったら、けっこう古い名前なんですね。
戦時中は「スキー」が外来語ということで「寿亀正宗」として製造・販売を継続していました。現在は「スキー」も「寿亀」も両方製造・販売しています。
ということで、「スキー正宗 復刻版」です。何が復刻かというとラベルで、昭和20年代に使用されていたとされるデザインです。オリジナルの普通酒はいつもの「正宗」ロゴなのですが、これは変わったゴシック体の「正宗」です。
新潟県産五百万石100%使用で60%精米、妙高山系から流れ出る伏流水で醸し、醸造アルコール添加の特別本醸造です。淡麗ではなく、ほんのり甘味のある辛口です。ほとんどクセがないので、食中酒として飲むのにいい感じです。
スキーヤーがセーターにゴーグルというレトロな感じでいいですね。胸のMは武蔵野酒造のMでしょうか。ところで、新潟なのになぜ武蔵野なのかというと、創業者が江戸で修行した時に譲り受けた酒造免許株が武蔵野の酒蔵だったということのようです。
正宗が付く酒のなかでもカタカナは「アルプス正宗」「スキー正宗」「キンシ正宗」「ヤマサン正宗」「ミヨシ正宗」などですが、いわゆる外来語はアルプスとスキーなので、そのふたつをまずクリアできたのはよかったです。これからも「正宗」制覇に向けてがんばりたいと思います。